介護事業の倒産スピードは過去最多の去年と同程度!
デイサービス事業所の縮小に続いて、介護事業の倒産が相次いでいます。
東京商工リサーチの調査によると、今年1月~8月までの倒産件数はすでに62件。前年2016年も同程度の件数で推移していたのでかなりのハイペースとなり、負債は過去最多だった昨年をすでに超えているとのことです。
その原因としては、第一には、2015年の介護報酬改定において2.27%の介護報酬引き下げが行われたことが挙げられます。この影響を受けて倒産件数が大幅に増加したのだと考えられます。介護報酬改定は3年に1度改正されますので、次回の改定は来年です。また引き下げられるようなことがあれば、倒産の波はさらに加速することでしょう。介護報酬が引き下げられると、介護報酬に依存する構造の介護施設は売上が減少。そうなると人件費や家賃等を支払えなくなることから資金繰りが行き詰まり、倒産に至ってしまうのです。
第二に、人件費の高騰があります。日本全体の人手不足に応じて、介護業界も給与を上げざるを得なくなっています。ただし、介護業界は待遇があまり良いとは言えず、全産業と比べて100万円近く年収が低い状況です。しかも、そこには人手不足という現状が存在し、新しい人材を無事に採用できたとしても、離職率の高さが依然として問題で、なかなか人材定着は難しいのが現状です。そして、あまりにも待遇が悪い環境では、人間関係も悪化。職場内の空気が悪くなり、それに耐えられなくなり離職する人も続出しています。事実、介護職員の離職理由で1番多いのは人間関係だということが厚生労働省の調査で判明しています。
また、介護事業所同士の競争により自然淘汰されているという見方もあるでしょう。
介護保険制度によって信頼できる売上見込みや、大規模に運営することで利益も高くなることに目をつけた多くの事業者が事業所の運営に参入しました。その結果、介護事業所同士での激しい競争が起こったのです。
そして、副業で参入する事業者が一定数存在することも問題です。本業の不振によって異業種から安易に参入したものの事業計画が甘く、準備が行き届いていないことから倒産に至るなどのパターンもあるのです。ノウハウを持たずに介護事業へ参入したとしても、その地域で利用者を独占できれば事業はうまくいくと安易に計画。しかし、競合他社が開業したとたんに、競争ノウハウを持たないまま参入した事業者は打開策を打つことができず、初期費用が尽きることで倒産に至るケースも多いようです。